【2023年版】マンションの売却相場10年の推移|価格の下落はある?

いまマンションの売却価格が高くなっており、バブル景気を超える高値を2年連続で記録しています。調べてみるとこの10年ものあいだ、マンションの売却相場は上昇の一途をたどっていました。
どうしてマンションの売却相場が上昇しているのでしょうか。10年のあいだに何があったのか、これからマンションの売却相場はどうなっていくのか。ニュースなどをもとに解説します。
もくじ
2023年も新築マンションはバブル超えの高価格
不動産経済研究所によると、首都圏における2021年の新築分譲マンションの平均価格は6,260万円、2022年は6,288万円という結果でした。この結果は、バブル景気真っただなかの1990年に記録した6,123万円という最高記録を2年連続で上まわっています。
次のグラフは1980~2020年までの40年間を5年ごと分けた、首都圏における新築マンションの平均価格の推移をまとめたものです。

首都圏における新築マンションの平均価格の推移
参考:株式会社不動産経済研究所「全国マンション市場40年史」「全国新築分譲マンション市場動向2019年」「全国新築分譲マンション市場動向2022年」
このグラフからはバブル景気に入る前の新築マンションの平均価格はそれほど高くなく、バブル景気を迎えた途端に急騰していることがわかります。バブル崩壊後は、2000年に一度少々下落したものの、2005~2020年まで順調に上昇を続けています。
マンション売却相場10年間の推移
首都圏と近畿圏における、10年間のマンション売却価格の推移を見てみましょう。この10年間でマンションの売却相場が、大きく上昇を続けていることがわかります。
首都圏のマンション売却相場
首都圏におけるマンション売却相場は、2013~2022年の10年間一度も下落することなく順調に上昇しています。さらに次のグラフから2013年では成約価格が2,589万円なのに対し、2022年では4,276万円と約1.6倍の金額になっていることがわかります。

マンション相場の推移(首都圏)
参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」
2022年における東京都区部の中古マンションの成約価格は5,776万円と、新築分譲マンションの売り出し価格と大きな差はありません。この結果から、人気の高い東京都区部に位置するマンションなら、早期の高値売却を期待できそうです。
近畿圏のマンション売却相場
近畿圏も首都圏と同様に、2012~2021年の10年間で売却相場が一度も下がったことはありません。数十万円~数百万円単位で年々上昇していき、2021年には2,491万円まで値上がりしました。

マンション相場の推移(近畿圏)
特に価格の上昇が著しいのは大阪市で、2020年には2,962万円、2021年では3,186万円で推移しています。大阪府全体におけるマンションの成約価格を見てみると、2020年で2,518万円、2021年時点で2,687万円という結果で、大阪市のマンションは高値での取引を期待できます。

マンション相場の推移(大阪府・大阪市)
参考:公益社団法人近畿圏不動産流通機構「2021年度年刊市況レポート基本指標中古マンション」
これらのデータから、マンションの売却相場は年々上昇し続けていることがわかりました。東京オリンピック開催後、マンションの売却相場は下落すると予想されていましたが、予想は大きく外れて現在も高止まりしています。
マンション価格に影響した5つのできごと
マンションの売却価格が上昇し続けた背景にある、この10年間に起こった主なできごとを紹介します。
- 2012年 アベノミクス
- 2013年 東京オリンピック招致
- 2016年 マイナス金利政策
- 2020年 新型コロナウイルスの流行
- 2022年 ロシア・ウクライナ侵攻
それぞれどのようなできごとか、どのように影響したのかを詳しく解説します。
2012年 アベノミクス
アベノミクスとは、2012年12月に第2次安倍政権において打ち出された「3本の矢」を柱とする経済政策です。アベノミクスの第1の矢として位置づけられた日銀の大規模な金融緩和により、住宅ローンの金利が大きく引き下げられました。
金利が下がることで借り入れできる金額が増え、支払うべき利息は減少します。結果、新築分譲マンションを購入する人が増え、需要が高まるとともに売り出し価格も高騰しました。
2013年 東京オリンピック招致
2013年9月、国際オリンピック委員会総会にて2020年夏季五輪の開催地に東京が決まりました。夏季オリンピックの招致に成功後、世界的な祭典が行われるエリアに住居を構えようとする人が増加します。
特に選手村が建設された東京都中央区晴海に建つマンションは人気が高く、即決する人も多かったようです。東京が世界中から注目されるとともにマンションの需要が高まり、価格も上昇することとなりました。
2016年 マイナス金利政策
2016年1月には日銀によるマイナス金利政策が導入され、住宅ローンの金利も引き下げられました。結果、住宅を購入する人が増え、需要の高まりにともなってマンションの価格も高騰することになります。
2016年ごろには新築マンションの平均価格はすでにバブル景気に近い価格まで値上がりしていましたが、マイナス金利政策の導入によりさらなる価格高騰につながることになったのです。
2020年 新型コロナウイルスの流行
2020年1月、日本で初めて新型コロナウイルスの症例が確認され、瞬く間に全国へと感染が拡大しました。2020年4月初旬には、東京都や大阪府をはじめとする7都道府県に緊急事態宣言が発令され、人々は外出自粛を余儀なくされます。
緊急事態宣言解除後も感染拡大は収まらず、リモートワークを推奨する企業が増えました。これにより、家のなかで仕事や勉強をする人が増加し、手持ちのマンションが手狭になったことから新しいマンションへと買い替える人が急増します。
また、不動産市場ではコロナショックによる不動産価格下落が心配されていましたが、マンション等の住宅需要が高まったため、コロナ流行後も価格が下がることはありませんでした。
2022年 ロシア・ウクライナ侵攻
2022年2月には、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が開始され、欧州諸国を中心とする世界各国からロシアへ経済制裁が科されます。
制裁を受けたロシアは、各国への木材や金属、原油などの輸出を停止し、さまざまな国で木材の不足やエネルギー価格の上昇が続く事態となりました。マンションを建てるのに必要となる材料類の価格高騰から、物件価格の上昇につながったようです。
2023年のマンションの売却価格はどうなる?
マンションの売却価格は、右肩上がりで上昇の一途をたどっています。オリンピック閉幕後や新型コロナウイルスの流行などを理由に、マンションの需要は下がると予想されていましたが、予想を大きく裏切って年々需要は高まる一方です。
マンションの需要が上がり続けていることから、2023年以降に売却価格が急落する心配はないかもしれません。マンションの需要が増えている要因として、考えられるできごとをふたつ紹介します。
要因① 日銀の植田新総裁金融緩和策を継続
2023年4月、日銀の植田新総裁は就任会見を開き、基調的なインフレ率が2%にしか達していないいま、金融緩和策は継続することが妥当と述べました。
金融緩和策継続にともない住宅ローンの金利の引き下げも続き、結果としてマンション等の住宅を購入する人が減らないことから、価格上昇を期待できます。
参考:NHK「【詳しく】日銀植田新総裁会見『金融緩和策継続が適当だ』」
要因② 大手銀行による住宅ローン金利引き下げが相次ぐ
欧米で金融不安による長期金利低下の影響を受け、大手銀行では2023年4月から住宅ローンの固定金利を引き下げる動きが次々と起こりました。
各銀行が発表した水準のうち、三菱UFJ銀行は10年固定の住宅ローンについて2023年4月から適用されたもっとも優遇を受ける場合の金利を0.13ポイントも引き下げ、年0.95%と1%を切る水準としています。
参考:NHK「大手銀行住宅ローン金利引き下げ相次ぐ長期金利低下で」
マンションを売却するときの注意点
マンションの売却時に気をつけるべき点を5つ紹介します。マンションを売り出すときは次のポイントを意識し、売却成功を実現しましょう。
- マンションの売却相場を把握する
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 担当者との相性を見きわめる
- 売り出し価格は希望価格より高めにする
- 住宅ローン返済中の場合は完済が必要
それぞれの注意点を詳しく解説しますので、マンションの売却を検討している方は参考にしてください。
マンションの売却相場を把握する
不動産会社へ査定を依頼する前に、マンションの売却相場を調べておきましょう。あらかじめ売却相場を知ることで、資金計画を立てやすくなるとともに、不動産会社から提示された査定価格が適正か判断しやすくなります。
マンションの売却相場を調べる方法は、次の記事で詳しく解説しています。
複数の不動産会社に査定を依頼する
査定は必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。不動産査定には明確な基準が設けられていないため、会社ごとに査定価格が異なります。
希望価格でマンションを売却するためにも、複数社の査定価格を比較したうえで売却を依頼する会社を決めるのがおすすめです。
複数の不動産会社に連絡するのが手間であれば、一括査定サイトを利用してまとめて査定を依頼するのもおすすめです。
担当者との相性を見きわめる
マンション売却の成功のカギを握るのは、担当者との相性にあるといっても過言ではありません。相性がよければ早期の高値売却のチャンスを掴めますが、悪ければ計画どおりに売却を進められないおそれがあります。
相談したときの態度や言葉づかい、提案内容など、さまざまな面から大切なマンションの売却を任せられる担当者かチェックしましょう。
売り出し価格は希望価格より高めにする
不動産売却では売買契約を締結する前に、購入希望者側から値引き交渉があるのが一般的です。そこで値引き交渉に備え、売り出し価格を希望価格より少し高めに設定することをおすすめします。
多少値引きされても希望価格に近い価格でマンションを売却できますし、高めにした価格で売却できればそれだけ利益が増えます。ただし、あまりにも相場からかけ離れた価格だと、検討すらされなくなるおそれがあるので、不動産会社の担当者とよく相談して売り出し価格を決めましょう。
住宅ローン返済中の場合は完済が必要
住宅ローンの残債があるマンションを売る場合、売却時に借入先の金融機関へ一括返済しなくてはなりません。つまり不動産会社から提示された価格が、住宅ローンの残債を上まわっている必要があるのです。下まわる場合は、手持ちの資金で不足分をまかなう必要があります。
売却するマンションが住宅ローンを返済中であれば、あらかじめどれだけ残債があるかを調べておきましょう。住宅ローンの残債は毎年10月ごろに金融機関から送付されるローン残高証明書で確かめるか、金融機関に問い合わせてください。
住宅ローンを返済中のマンションを売却する流れは、次の記事で詳しく解説しています。
一括査定で優秀な担当者を見つける
マンションをはじめとする不動産を売却するときは、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。不動産会社によって物件に対する評価が異なるほか、スムーズな売却は担当者の能力に左右されるためです。いまいちな担当者にがまんしてつき合っても、無駄に時間が過ぎていくだけです。
複数の不動産会社に査定を依頼すれば、さまざまな担当者と会う機会が得られます。査定価格が妥当で、売却計画の提案に優れる不動産会社と担当者を見つけるため、ぜひ複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼するなら、一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。売却するマンションの情報を一度入力するだけで、最大6社の不動産会社を紹介します。
不動産会社の査定を受けたら、電話での応対、査定価格の説明、売却価格の提案などさまざまな角度から各社の担当者を比べてみましょう。
時間をかけて高値で売却するより、早くマンションを手放したい人であれば、不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法もあります。不動産仲介による売却だと短くても3カ月はかかりますが、不動産買取であれば買主を探す手間がかからないため、査定~引き渡しまで1カ月程度で終わります。
ただし、再販売する不動産会社の利益が差し引かれるため、売却価格は市場価格より3割ほど安くなります。売却価格が多少安くなっても、マンションを早く売却したい人におすすめの売却方法です。
- マンションの売却価格はどのように推移している?
- 2013~2022年の10年間は一度も下落することなく、順調に上昇を続けています。首都圏の成約価格は2013年と比べると、約1.6倍にもなっています。
- 今後のマンションの売却価格の相場はどうなる?
- 日銀の植田総裁が金融緩和策を継続することを発表し、それにともなって住宅ローン金利が低下しています。今後もマンションの需要は下がらず、価格上昇が期待できます。
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この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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